掃除機のカテゴリー(種類)
電気掃除機は日本では80年以上という歴史を持ちます。縦長の本体と電気コードをつないで掃除し、収納は布袋に・・・といった初期の時代があり、その後、紙パックを使用するタイプへと進化していきました。さらに、現在主流のサイクロン・コードレス式に至るまで、様々な形状のものに発展してきました。概ね下記のタイプに分類されます。
電気コード式
キャニスター型掃除機(横型)
(1)紙パック式
1980年代に主流となり、現在も根強いシェアを持つ一般的なタイプ。強力モーターが生み出すパワーがあることと、掃除機本体とパイプ・ヘッド部分がホースで分かれているため、本体を床において転がしながら掃除ができます。
本体にセットした紙パックにゴミが溜まっていくため、徐々に吸引力が低下することや長期間使用していると排気の質・ニオイが気になるという面がある一方、紙パックが満杯になれば基本的にこれを交換することでお手入れが完了するといった手軽さがあります。
(2)サイクロン式
紙パックを使用せず、プラスチック製のダストボックスにゴミを収めるタイプが、一般的に「サイクロンタイプ」と呼ばれます。
ダイソン社が日本国内で初のサイクロンクリーナーを投入した1998年から注目され始め、2000年ごろから国内大手メーカー各社も発売を開始しました。
カップ内部でゴミが竜巻(サイクロン)のように回転する構造のため、遠心力が生まれゴミと空気を遠心分離することにより、吸引力が落ちにくいという利点が最大の特長となっています。
現在では、製造コストを重視し、ゴミの遠心分離構造を持たない簡易式のサイクロンと呼ばれるような廉価タイプのサイクロンクリーナーや、日本の家庭環境に合わせ小型化したサイクロンクリーナーなどの種類が増えています。
アップライト型掃除機(縦型)
本体部分とゴミ収納部分が直線的な縦長となっており、床用ノズルが本体下部に直結されているクリーナーです。
収納場所に困らないスリムな形状で1人暮らしの家庭や2台目の掃除機として需要があります。
基本的には床掃除のみしかできないようなものが多いですが、本体に接続されているホースなどですき間も掃除できるクリーナーもあります。
以前はスタンド式クリーナーは紙パック式がほとんどでしたが、現在はほとんどがサイクロン式(または簡易的な紙パック不要タイプ)になっています。
海外では「アップライト」という呼び方がされており、日本より一般的なところもあります。
ハンディ型掃除機
小型モーターを積んだ本体に吸口を接続して、手元や車内などを掃除する用途の掃除機がハンディクリーナーです。
本体が小さいので一般的な横型クリーナーまでのパワーは出ませんが、付属品としてホースや延長管、スキマノズルなどが付け替えできる機種もあるので、そういったものでは手元のみならず床や高い場所などといった場所も掃除ができるようになっています。
ハンディクリーナーは現在ではコードタイプよりも、いろいろなところを掃除したいという用途のためにコードレスタイプが多くなっています。
コードレス(充電式)
キャニスター型掃除機(横型)
紙パック式コードレスクリーナー
コードレス式とは充電池を本体に搭載し、充電した後定格の使用時間分クリーナーとして使用可能なタイプです。2000年前後には日立やナショナル(現パナソニック)からコードレスの紙パック式クリーナーが発売されていましたが、掃除機の主流が紙パックよりサイクロンタイプに移ってきたという事情もあり、現在ではキャニスター型のコードレス紙パッククリーナーは発売されていないようです。
サイクロン式コードレスクリーナー
紙パックを使用しない、サイクロン式のキャニスター型コードレスクリーナーについては、その時その時でメーカーによって発売しているものがありますが、大手がすべて出しているといった状況ではありません。手軽さと性能面の向上により、スティックタイプでのコードレスクリーナーが大多数を占めています。
2019年現在では、キャニスター型のコードレスクリーナーとして東芝の「VC-NXシリーズ」(製造は終了、市場在庫のみ)とシャープの「RACTIVE Air(ラクティブ エア)シリーズ」がラインナップされているのみです。
サイクロンスティッククリーナー
コードレスのサイクロンスティッククリーナーは2011年にダイソンが通常のサイクロン掃除機の構造を使い、コードレスクリーナーとして発売してから大ブレイクしました。
ダイソンに加え、エレクトロラックスやシャークといった海外勢に加え、国内の家電メーカーも非常に多く発売しているカテゴリとなっており、ここ数年で飛躍的に台数を伸ばしてきました。
バッテリーの進化によって運転時間が長くなり、家庭での使用に耐えるものが増えたことや、どこでも掃除できる軽さなどが消費者から評価を得ており、価格も1万円台~10万円程度のものまで増えており、各メーカー現在力を入れているところです。
紙パック式スティッククリーナー
紙パックを使用するタイプのコードレスクリーナーもあります。このカテゴリーはサイクロン式に比べてシンプルな構造にしている機種が多いため、それほど高級タイプはなく、お求めやすい価格の機種が多いです。
注目され始めたのは、ちょうどダイソンのサイクロン式スティッククリーナーが人気になってきたあと、 電動工具メーカーであるマキタのコードレスクリーナーが紙パック式(またはカプセル式)という方式ながら、非常に軽量の本体と、もともと定評のある急速充電対応バッテリーの恩恵で、家庭用としても使いやすいという口コミが広がりました。
その後、ホームセンターなどが中心だった取扱店が家電量販店やネット通販でも気軽に購入できるようになり、人気が定着したという経緯があります。
現在は、家電メーカーではアイリスオーヤマなども紙パック式のコードレスクリーナーを発売しています。
ハンディクリーナー
コードレス式のハンディクリーナーについては、ハンディだけで使う専用品も多く出ていますが、上記のスティックタイプがそのままハンディタイプにもなるものが多く、ハンディ/スティック兼用のものもあります。
数年前から注目され始めた、ふとん専用のクリーナーも形状としてはハンディタイプになります。
ハンディクリーナーはバッテリーの種類や性能、形状などが非常にバリエーション豊富で、2~3000円で購入できる廉価な充電式ハンディクリーナーもあれば、ダイソンのようにハンディ型で3万円近いパワフルタイプがあるなど、多数発売されています。
ロボットクリーナー
コードレスのスティッククリーナーと並び、掃除機としては比較的値段が高い部類に入るのがこのロボット掃除機。
大容量の電池を積んでいるため機種によっては60分程度の最長運転が可能で、本体に付けられたセンサーで部屋の形状やゴミの位置などをチェックし、自動で部屋内を動きまわって掃除するタイプで、サイクロン式と同じように、海外メーカーであるアイロボット社のルンバが2002年12月に国内のテレビ通販で発売以来、じわじわと知名度を上げてきました。
それ以来ロボットクリーナーではルンバのシェアが多くを占めていますが、実は日本国内ではルンバ上陸直前の2002年10月に、エレクトロラックスby東芝の「トリロバイト」というロボットクリーナーが出ており、それが厳密には国内初のロボットクリーナーとなります。
他メーカーは2011年頃から本格的にロボットクリーナーに参入しています。現在は東芝のスマーボ、パナソニックのRULO(ルーロ)、ダイソンの360 Heurist、日立のminimaruといった機種が発売され、ルンバに対抗しています。
ルンバのロボットクリーナーカテゴリーでの国内シェアは60%ほどとなっており、一強時代が続く一方、ロボット掃除機のシェア自体はクリーナー全体の10%ほどで、まだ今後も普及の余地がある分野です。メイン掃除機として購入する人も、またスティッククリーナーなどと併用で使用する家庭も多くなっています。