スティッククリーナーの排気について:概要
国内のスティッククリーナー流通状況
まずはじめに、当ページでは「コードを使わないサイクロン式スティッククリーナー」を指すこととし、コード式のサイクロン掃除機については別のページにまとめております。
2021年1月現在、国内で流通するコードレスのサイクロン式スティッククリーナーとしては、日立、パナソニック、東芝、シャープ、三菱電機、ダイソン、エレクトロラックス、Shark、レイコップ、ハイアール、アイリスオーヤマといったメーカーなどから発売されています。今もっとも売れている掃除機のカテゴリーだけに、中小のメーカーからも廉価モデルを中心に非常に多くのスティッククリーナーが出ている状況です。
スティッククリーナーの排気がきれいになるためには?
現在は紙パックを使用したクリーナーは少数派で、多くが紙パック不要のサイクロン式となっています。その中で、排気のきれいさを構成する要素として、サイクロン式ならではの「遠心分離」で、吸ったゴミを回転によって空気と分離し、ゴミをしっかりとカップ内に収めることができる能力を備えていること、そしてダストカップに収めきれなかった細かいゴミ(微粒子)を外に出さないようにする「フィルターの良さ」が必要です。
以前は良いフィルターを搭載して、筐体やモーターも大きめで遠心分離のしやすい機種が多く、排気クリーンを全面に押し出したクリーナーが少なくありませんでした。
現在は排気クリーンを押し出した機種は少ない
しかし、市場の要請もあり、特にスティッククリーナーは小型化・軽量化が最も重視される方向性になっています。これは、「排気をきれいにする」という条件を満たすには難しくなっていることも意味します。
そのため、以前に比べると日立やパナソニックといった大手のメーカーでも、スティッククリーナーでは小型軽量のモデルが増えたために、排気の具体的な性能を表記している機種は少ないです。全く排気性能を表記しなくなった大手メーカーもあります。使いやすさや軽さが好評で顧客に求められているものなので、排気はそれほど気にせずに選ぶ方も多くなっているのではないでしょうか。
これはこれで現在のクリーナー業界のトレンドとも言えますが、2020年から新型コロナウイルスが猛威を奮っており、ウイルス除去とはいかないまでも、少しでも排気を綺麗にできる掃除機が欲しい、気になるという方も多いのではないでしょうか。
その中で、2020年以降発売された機種のうち排気性能を表示しているコードレススティッククリーナーのランキングは以下の通りとなります。
排気のきれいなスティッククリーナーをランキングで掲載
第1位:dyson digital slim/dyson micro 1.5kg/dyson V11(すべて同率)
コードレススティッククリーナーで最も排気性能が良いのは、ダイソンのスティッククリーナーです。2020年は、主力の「ダイソンデジタルスリム」SV18FFシリーズ、超軽量の「ダイソン マイクロ 1.5kg」SV21FFシリーズ、強力タイプの「ダイソン V11」SV15ABL EXTが発売されています。
サイクロンクリーナーの元祖で、すべての機種で高い遠心分離にこだわりを持つダイソンだけに、ゴミがダストカップ内で高速回転する様子は迫力があります。
この遠心分離でほとんどのゴミをカップ内に収めたあと、手元のモーター部分にある「ポストモーターフィルター」を通過することで、「製品全体で5段階にわたりゴミを捕集する設計で、0.3ミクロンもの微細な粒子を99.99%捕らえて逃しません」というクリーン排気を実現しています。(0.3ミクロン=μm=マイクロメートル)
花粉が約30~40μm、PM2.5が2.5μm以下の微粒子なので、いかに細かいチリを逃さない構造になっているかおわかりいただけると思います。
上記に挙げた機種はすべてポストモーターフィルターがある機種で、dyson V10、V8、V7など、以前のダイソンのスティッククリーナーでも、ポストモーターフィルターがあるものは同等の排気性能を持っています。
小型軽量、電源のない使いやすさで人気のコードレスクリーナーですが、ダイソンはコード式の多くの機種を上回る排気性能を持っていますので、文句なしの1位です。
第2位:レイコップ RSC-300JPWH/100JPWH(すべて同率)
第2位は、ふとんクリーナーで有名なレイコップのスティッククリーナー「Raycop RSC」シリーズです。
標準質量1.7kgで軽量タイプのRSC-300JPWH、RSC-100JPWHの2機種は、4段階のクリーンシステムを搭載し、排気性能として「0.3μm以上の超微粒細粉塵を99.97%以上キャッチし、清潔な空気を排出」します。
毎日使うベッドやふとんのお手入れに対して力を入れてきたレイコップだけに、その機能や技術を活用し、スティッククリーナーとしても発売しています。
大きな特長として、RSC-300JPWHは通常のクリーナーヘッドの他に、布団クリーニング用のUVヘッドも付属しており、部屋の掃除はもちろん、除菌のできるふとんクリーナーとしても役立ちます。
補足として、2019年に発売されたRPC-300JPWHも、同等の排気クリーンレベルとなっています。この機種は強力モーターを搭載し、よりパワフルさを押し出したタイプとなっています。
第3位:エレクトロラックス Pure Q9シリーズ(すべて同率)
第3位は、エレクトロラックスのスティッククリーナー「Pure Q9」です。Pure Q9は、ハイグレードモデルのPQ92-3BWFと、スタンダードモデルのPQ92-3EMFの2機種があり、搭載しているヘッドや付属品の違いなどがありますが、同じ形状で、手元部分は軽く、重心が下にあるため本体が自立できる「スタンド型」とも呼ばれるタイプのクリーナーとなります。
排気性能としては、「5段階フィルターで0.3-10μmの微粒子を99.9%キャッチ」となっています。高いレベルのクリーン性能を持っており、クリーンな状態でお掃除が可能です。
手元側に本体があるタイプに比べてダストカップの遠心分離できる範囲が小さいため、フィルターのお手入れが比較的こまめに必要なところはマイナス面でもありますが、掃除を中断するときにそのまま立てておくことができるデザインは便利です。
第4位:三菱電機 iNSTICK ZUBAQ HC-JD2X/HC-JM2X(すべて同率)
第4位は、スタイリッシュなスティッククリーナーを発売している、三菱電機のインスティック ズバキューシリーズの2機種となります。
HC-JD2XとJM2Xはともに、充電スタンドからスティック状態でもハンディ状態でも取り外ししやすいデザインが魅力的な軽量のコードレスクリーナーです。2機種は自動運転の有無や本体色、付属品の数が異なっており、その他の本体性能は同一です。
いずれの機種も排気レベルは「0.3μm以上の微細なゴミを99.9%逃がさない」レベルで、非常に高いレベルにあります。
ダイソンとはまた違う路線で多機能なクリーナーとして存在感を発揮しているインスティックシリーズとなります。
第5位:エレクトロラックス Well Q7/Well Q6シリーズ(すべて同率)
第5位は、エレクトロラックスのスティッククリーナー「Well Q7」と「Well Q6」です。Q7のほうがより高出力のバッテリーを搭載しています。Q7、Q6はそれぞれ搭載ヘッドや付属品の違いで2機種ずつラインナップされており、予算や用途に応じて購入することができます。
排気性能としては、「0.7~10μmまでの微粒子を99.9%キャッチするフィルターを搭載」しているため、十分に高いレベルのクリーン排気でお掃除が可能です。
それ以外の機種について
実は掃除機メーカー各社中、コードレスのスティッククリーナーに関して具体的な排気のレベルを表示しているのは上記のダイソン、レイコップ、三菱電機、エレクトロラックスしかありませんでした。
たとえば日立、パナソニック、シャープなど国内大手メーカーはクリーナーのダストカップ上部、または後方にフィルターをセットし、ここで微細なゴミをキャッチする構造になっていることは明記されていますし、近年国内市場に参入したShark(シャーク)のEVOFLEXというコードレス掃除機にも「HEPAフィルター」が搭載されていますが、どの程度の微細なゴミをどの程度の割合でキャッチできるかが明らかとなっていません。
また、もともと業務用ですが家庭用としても知名度の高い、マキタのスティッククリーナーも人気です。こちらは紙パック式とカプセル式が存在しており、サイクロン式はありませんが、純正紙パックやフィルター類の排気のレベルが不明となっています。
まとめ
このページでは、排気のきれいなコードレス式のスティッククリーナーを比較して、ランキング形式で掲載してきました。
上述していますが残念ながら、排気の具体的な記載をしているのが4社のみという結果になっており、花粉対策や赤ちゃんのいる家庭で排気のよりきれいなコードレスクリーナーを選びたいという方には、提案できる選択肢は少ない状況です。
排気よりは、普段使うこと自体が苦にならない、使いやすいものを優先する方は多いため、実際の売れ筋ランキングとは異なっている部分はありますが、排気をより気にする方はぜひ上記の内容をご参考ください。